vol.33 創立5周年を迎えて ~これぞ、ベンチャーの醍醐味!?~
2010/08/09 コラム by SHiPLA
本年6月27日に弊社は創立5周年を迎えました。
2005年に西明石の生頼第一ビルの2階で創業して以来、早5年が経過したのです。当初、創立から5年も経てば、売上も安定し企業として順調に成長しているのではないかと考えていましたが、成長を妨げる予想外のことがいろいろと起こりました。これこそがまさにベンチャーの醍醐味だとは感じるのですが。
一番大きなことは、やはり、2008年秋のリーマン・ショックです。急に市場が冷え切って、弊社のような研究開発と共に本格的な製造も手掛けるベンチャー企業にとっては大きな荒波になりました。リストラがVCにも及ぶような状況で、VCに依る資金集めも思うように進まず、当初描いていた生産・販売計画が大幅に遅れました。これは、日本だけでなく全世界に広まった経済不況ですので、ある意味仕方のないことかもしれません。しかし、私自身は、日本の経済回復力を信じていましたので世界に先駆けて2009年の上期くらいには、元に戻るのではと期待していましたが、そうはいきませんでした。昨年、上場を果たした企業はこれまでで最低で、逆に多くのVCが存続の危機に瀕していると聞いています。
しかし、これは単なる言い訳で、このようななかでたくましく生きるのがまさにベンチャーの宿命です。これはまさにベンチャーから、今、本格的な企業になるための試練だとポジティブに考えるのが私のいいところだと自負しています。
ベンチャー企業がよく言われるのが「技術は良くても売りは別だね」、「技術はあっても、ビジネスモデルがよくなければ駄目だね」、「夢と現実は別物だよ!」などなど・・・
これは一面は当たっているのですが、人がやれないからこそチャレンジする価値があるのです。弊社は「技術はよい」という一面を認めて頂いているのですから、その強みを生かして勝負をしていかなければなりません。
・「技術は良くても売りは別だね」
売上げをどうしたら伸ばせるか、毎週の営業戦略会議でも遅くまで話し合っています。よくお客様から言われるのが、「価格が高いのでは」ということです。これに対して私は、次のように考えています。
超大画面の市場は、今立ちあがったばかりで誰も相場を知らない。例えば、弊社ののプラズマチューブアレイ(PTA)を用いた3×2㎡の超大画面フィルム型ディスプレイはまったく新しいデバイスで、プラズマテレビが生み出した薄型大画面テレビ市場のような高付加価値の新市場を形成できるはずです。現在のプラズマテレビや液晶テレビはインチ数千円の市場ですが、生まれてから時間がたち高付加価値市場を卒業し、こなれた低付加価値市場の普及商品に育ちました。
今、まさに生まれたばかりの超大画面の新市場は、これまで見たことのない視野角を覆う感動の世界を提供できます。現在の薄型テレビと比較すれば高付加価値市場なのは当然です。高い品質の自発光型の超大画面市場は、これまではLEDしかできなかったインチ数十万円の市場です。PTAはプラズマや液晶やプロジェクターではできない超大画面の高品位の映像提供ができ、新しいサービスを提供できるのです。したがって、情報の価値が高くなっています。過去の主流のディスプレイ、すなわちCRT、PDP、LCDは全てこの途を歩み、高価格の時代を消費者に認めてもらいながら、低価格の商品に育ったのです。いまPTAディスプレイはまさにこの途を歩み始めました。
低消費電力、薄さ、設置容易性、運搬のしやすさなどの特長をすべて備えたディスプレイは他にはありません。PTAは、超大画面市場のために生んだディスプレイです。製造工程も少なく、小さな工場でできますから、環境にもやさしいグリーンディスプレイともいえます。価格は顧客へのサービスの裏返しですから、私たちがこのPTAの良さをまだ、アピールできていないのかもしれません。また、投資効率は従来の100倍はいいはずで、将来コストは大きく下がる可能性があります。皆さまに、ご支援いただいて、将来は家庭でも使えるレベルに育てたいと思っています。
・「技術はあっても、ビジネスモデルがよくなければ駄目だね
わが社は2つの基本的な戦略をもっています。1つ目は開発と製造化を並行して進める、2つ目は独自市場の入口市場から開拓する戦略です。
一つ目のわが社のビジネスは、ベンチャー企業には数少ないといわれる研究開発と製造、販売まで手掛けるという近年には珍しいハードのビジネスです。最近多いファブレスでは無いのが特徴です。このため研究開発したものを並行的に試作し、すぐ製造に取りかることができます。ベンチャーは、スピードが命です。大企業では、開発から製造まで数年かかるところを数カ月でできるようになります。わが社は2007年に神戸に拠点を作りわずか3年で3×2㎡、3×4㎡の世界最大のフィルム型曲面ディスプレイを世に送り出しました。しかし、ディスプレイ業界は、生き馬の目を抜く世界です。日本の技術は、確かだけれど、すぐ世界に追いつかれ、疲弊してしまうといわれます。この技術はユニークでそう簡単にまねができない技術だと思っていますが、いつまでも続くわけではありません。そうならないよう、スピードのある開発・商品化体制を築き、世界初の技術を出来るだけ早く世の中に出し、数年先までアドバンテージをとりたいと考えています。
二つ目の入口市場戦略は、これまでに最適なデバイスがない新市場を探し、その市場から参入するということです。たとえばPDPはCRTができない42型の商品化で、超大画面テレビ市場を開拓して大成功しました。すなわち競争相手となる敵のいない新市場を形成することで新デバイスは生まれることができます。この市場はまだ若いので付加価値が高く、そこで本物のデバイスに成長するのです。この新市場を入口市場と名前を付けました。この市場を探し、自ら市場を形成したデバイス、すなわち、PDP、LCD、LEDだけが、いま、ディスプレイ市場に君臨しています。PTAは100型から300型の室内市場を入口市場として、生き残る戦略です。
・「夢と現実は別物だよ!」
そうですね! 私は、別物だとは思いませんが、夢なくしては、現実をかなえることはできないと信じています。夢を傍らに抱えながら、現実化のための課題に向かって解決していくことで、夢が実現できるのです。私は幸運にも、プラズマテレビ(PDPテレビ)を実現し、いま二つ目のPTAディスプレイの実現にチャレンジ中です。おかげで、わくわくする毎日を過ごしています。これぞ、ベンチャーの醍醐味!?です。
なかなか毎日、苦しい現実を抱えていますが、夢を決してあきらめないで頑張っていれば必ずや道は開けると信じています。
どうぞ、皆様の変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。
「技術は愛」

